みやき荘のデイゴ(梯梧)について
沖縄県の「県の花」として、10年くらい前までは沖縄本島、
宮古、八重山、どこに行っても良く見かける木でした。
しかし、ここ数年“デイゴヒメコバチ”と言う害虫の被害に遭い
県内全域でその数は激減しています。
本来は生命力が強く、「やーこわさー(家を壊す木)」と言うくらい根の勢いもあるのだそうです。
みやき荘の西側の洗濯場にあるデイゴも、元気なときには今より大きく枝を張り、
青々と葉を繁らせ、大きな優しい木陰をつくってくれていたように記憶しています。
このデイゴの木は弱ってしまった現在でも、洗濯ロープの支柱として毎日大量に出る宿泊客や
宿の洗濯物の重みに耐え、陰ながら宿を支え続けてくれています。
誰かが枝にかけ忘れたであろうハンガーを幹に巻き込んだまま逞しく成長している姿は、
この黒島という土地に生きる命の姿を物語っているような気がします。
みやき荘は沖縄の復帰前にキヨおばーが、学校の先生の下宿から始めて、
二代目のご主人“マサ兄”が30代で島に戻り今の建物を建てました。
「この木はその時にが、僕が植えたさ…。」
弱ったデイゴ眺めて、寂しそうにマサ兄がつぶやきます。
以前、燃えるように真っ赤に咲き誇ったデイゴを眺めては、
キヨおばーが
「イャッハー!きれいに咲いたなー」
と、とても喜んでいた時の笑顔が忘れられません。
そんなおばーも先年、姉であるキクちゃん(二人は現役時代も、引退後もずーっと一緒でした)を亡くしてから、もともと小さかったのが、また一回り小さくなってしまったように感じます…。
数年前から島に帰ってきて、宿を盛り立てているみやき荘三代目の“はぢめ君”の成長はもとより、みやき荘に関わったすべての人の笑いや涙、宿の歴史も島の歴史も見つめ続けてきた…そんな大切なデイゴが、今枯れそうです。
みなさん“みやきのデイゴ”を助けてください。
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